愛憎の 2 級建築士試験
>独学という選択
自分は 2 級建築士に独学で合格した。
2 級建築士の学科と製図の両方において、「独学」を選ぶ人は少ない。ここで言う独学とは、総合資格学院や日建学院といったいわゆる資格学校に通わずに受験をすることを指している。
確実に少ないことは分かるが、一体どれくらい少ないのだろうか。少し推測してみようと思う。とは言っても、資格学校の各社が受講生の数を公開しているわけもなく、よくよく調べると総合資格学院の長崎県(長崎校)の合格実績が公開されていたので、そこから推測してみよう(こういうリアルな部分は各社弱みと言っても差し支えないような情 報なので公開はしていないのだろう)。
これによれば、2019 年度、長崎県の 2 級建築士の設計製図試験の受験者は 92 人のうち、総合資格学院 長崎校の受講者数は 42 人であった(長崎県下の総合資格学院は長崎校しかない。厳密にいえば、「佐世保教室」というのもあるらしいが、実質的に長崎校が管轄している)。受験者のうち、総合資格学院の受講生の割合 Sn は、
これは全国で同じ割合であると仮定しておこう。
対して日建学院はと言うと、HP で合格者数だけ具体的に公表している。
2024 年度の設計製図試験の合格者数は 1,734 人だったそうだ。先の長崎校の実績をみると、総合資格学院は受 講生の合格率が 81.0%だったそうだ。各校で誤差もあるだろうが、80.0%で見積もって、これを日建学院にも適用させれば、N を予測受講者数としたとき、
となる。
続いて、2024 年度の設計製図受験者数を試験元(建築技術教育普及センター、以下 JAEIC)から確認する。
過去5年間の二級・木造建築士試験結果(JAEIC)PDF直リンク
2024 年度の設計製図受験者数は 9,988 人だったそうだ。
式 ⑴ の仮定を踏まえて、この内の総合資格学院の受講者数(仮定)S は、
これ以外に全日本建築士会や TAC、ハウジングインテリアカレッジ等々の資格学校もある。これを多めに見積もって、全体の 10%とすればその他の受講者数 O は、
くらいだろうか(そんなにいない?)。
ここまでを表にまとめると、次のようになる。
資格学校 | 受講者数(予想)[人] | 構成比[%] |
---|---|---|
総合資格学院 | 4,567 | 45.7 |
日建学院 | 2,167 | 21.7 |
その他 | 998 | 10.0 |
独学 | 2,259 | 22.6 |
合計 | 9,988 |
※独学者の算出 9988 - ( 4564 + 2167 + 998 )
これは製図試験に限った話だが、おそらく学科試験も同じような割合だろう。もしくは、製図試験は過年度者(既に学科を合格して製図から受験を始める者)がいるから、学科はもう少し受講者の割合が増えるだろうか。
とはいえ、独学者は予測でも大体 2 割くらいしかいない。ここまで数値を示さなくても独学者は受験会場や周りの環境で肩身の狭さを感じるだろうから、少数派であることは明らかではあるが。
>学科編
対策をしよう
あまり覚えていないが、学科の対策は「過去問スーパー 7」(総合資格学院)と、「建築関係法令集 法令編」(総合資格学院)をメインに使った。
過去問スーパー 7 は7 年分の過去問が載った過去問題集だ。最低でも 10 年分はやるといいらしい。自分はやらなかったが(でも 8 年前の問題はググってやった記憶がある。最後の力試しとして)。何周やるとかじゃなくて、全部覚えるまでやるのがポイント。全部というのは全選択肢のことだ。全選択肢の正誤が判定できるようになれば試験は受かる。
法令集は総合資格学院のモノを使ったが、これはインデックスが秀逸だ。ただ、インデックス(だったか線の引き方ハンドブックみたいなの)は付録として直接付属しておらず、総合資格学院にフォームか何かで請求して郵送して もらう形になったはずだ。このときに、電話番号とかも吸い取られるので必ず営業の電話がかかってくる。独学で行くと決めたのであれば、「独学で行くので応援のほどよろしくお願いいたします」などと適当に言って着信拒否にでも設定しておこう。
あと、学科試験前に資格学校各社が予想問題だとか、模擬試験問題だとかを公表してくれる。これも請求しないと送られてこない(=電話番号が吸い取られる)が大抵は無料なので齧りついておこう。タダ大好き。
>製図編
対策をしよう
対策は「2級建築士試験 設計製図 課題ドリル」(市ヶ谷出版社)と、とある Youtube チャンネルの視聴で行った。
市ヶ谷出版社の対策本は凄く良い。ちなみに自分は本の方ではなく、製図用紙とテキストと解答とかの紙っぺらが一緒になった自学自習用ボックス版というものを使った。
自学自習用ボックス版 設計製図課題ドリル(令和 6 年度版)(市ヶ谷出版社)
演習問題は10 題掲載